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「未来を“選ぶ”を提案する」場所に、クリエイティブ・ディレクター辻愛沙子が込めた願いのサムネイル

「未来を“選ぶ”を提案する」場所に、クリエイティブ・ディレクター辻愛沙子が込めた願い

「CHOOSEBASE SHIBUYA」のディレクションを担当したクリエーティブ・ディレクターの辻愛沙子さんに聞く、この売場に込めた思い。

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CHOOSEBASE編集部
CHOOSEBASE編集部
CHOOSEBASEに関わる、ヒト・モノ・コトをクリエーターの皆さんといっしょにお送りするオリジナルコンテンツです。 写真、インタビュー、コラム、エッセイ、小説など、多彩な記事で、皆さんの日常の選択を豊かにできたらと思っています。
「未来を“選ぶ”を提案する」場所に、クリエイティブ・ディレクター辻愛沙子が込めた願いのサムネイル

「CHOOSEBASE SHIBUYA」がいよいよオープンします。半年ごとのテーマに沿って商品やブランドが変わっていくという新しい取り組みの構想から空間・キービジュアルの制作まで、多岐にわたる活躍をしてくれたのがクリエイティブ・ディレクターの辻愛沙子さんです。今回の記事では、辻さんがこの売り場に込めた思いについて、お話を伺います。

まず、辻さんはショップのディレクションをするにあたって、どんなことを考えましたか?

辻:私は渋谷生まれ・渋谷育ちで、愛をもってこの街と向き合ってきました。でも、ここ最近は新しい文化の生まれる余白が減っていると感じていたんです。たとえば、「どうしてそれを買うのか」を考えられるようなお店は今やほとんどありません。“OMO型店舗”と呼ばれる便利なお店も増えていますが、そこには人間的な消費のあり方が足りないような気もする。便利で、意志があって、かっこいい、そんな“イケてるお店”"渋谷の未来を作るお店"が全然ないと感じていました。

「CHOOSEBASE SHIBUYA」のお話を聞いてどう思いましたか?

辻:新しいお店のあり方を考えたときに、時代の分岐点にあるいま、お店やブランドが“正解を定義する”こと自体がナンセンスだと思いました。必要なものは時代に合わせて変わっていくので、十歩先の正解を定義するのではなくて、小さな声をフックアップし、次の未来の可能性を感じられるような場所にするべきだと考えました。そもそも、西武・そごうは昔からアートやクリエーティブという文脈で小さなブランドや声をフックアップをしてきた百貨店です。だからこそ、いま渋谷という街で西武・そごうが“未来の兆し”を感じられるお店を作ることには大きな意味があると思いました。

「CHOOSEBASE SHIBUYA」という名前の由来について教えてください。

辻:この場所の意味を追求した結果として「未来の“選ぶ”を提案する」というキーワードが生まれました。未来を提案するのではなくて、未来の「選ぶ」を提案する。ショップが正解を提示するのではなく、来ていただくお客さまが未来を選ぶ。そんなニュアンスを名前にも込めたいと思って「CHOOSE」という言葉を使いました。また、この場所はゴールではなく、いろいろな情報やモノゴトが集まる中継地点だと思います。売場の真ん中に十字路があるのも、この場所がゴールへ向かう道ではなく、この場所を通って次の場所へとつながっていってほしいという願いが込められています。疲れた時はここに来て、新しい視点を得て、また別の場所へ飛び立っていく。そんな“基地”のような場所であることを願って、「CHOOSEBASE」と言う名前を付けました。

最初のテーマは「TIMELIMIT」です。そこにはどんな思いが込められていますか?

辻:一番最初ということもあるので、年齢や性別・職業などに縛られず、誰もが当事者になれるテーマとして環境問題を切り口にした「サステナビリティ」を選びました。それはショップやブランドとしてのいま一番の課題でもあると思います。ただ、「サステナビリティ」という言葉はある意味で正解を提示しているような気がしたんです。そこで、もっと直接自分たちにつながるような言葉で、なおかつ「わかりやすさ」「わかりにくさ」のギリギリ真ん中にある言葉を考えた結果、「TIMELIMIT」というキーワードを立てました。「TIMELIMIT」という言葉からは、環境や資源はもちろん、文化や人生など、いろんな文脈が想像できます。人によって捉え方が変わるような余白のある言葉をあえて選んだんです。

「TIMELIMIT」というテーマで制作された印象的なキービジュアルについても教えてください。

辻:この場所ではお客さまが未来を選べるような「課題提起」をしていきたいので、もし何も買わなかったとしても、来ることで気づきがあったり、もやもやが残ったりすることが理想だと思っています。だから「違和感」を表現したかった。地球規模のことを表現しても自分ゴト化しづらいし、綺麗すぎるビジュアルでは流されてしまう。また、教科書的な正しさを見せつけるだけでも意味がないんです。そこで消費の中心でもある渋谷という街を切り取り、人の代わりに絶滅危惧種を合成しました。誰もいなくなった渋谷の街に、絶対この場所にはいないであろう絶滅危惧種が違和感なく存在している。そんな違和感を作りたいと思って生まれたビジュアルです。普段自分たちが生活している環境が、いかに人工的なものなのか、自分たちの環境が巡り巡って彼らにどんなメッセージや負荷を与えてしまっているのか、考えるきっかけになればと思います。

最後に、この場所に来る方へメッセージをお願いします。

辻:この場所ではお客さまである皆さんが主役です。正解を提示するのは私たちの仕事ではありません。誰もが声に出さなくても主義主張を心の奥に持っているはずで、私たちはその考えや行動をどこまでも信じて、選択肢を提示するだけです。次の渋谷を作っていくのはみなさんの思いや行動。変わり続けるこの場所で、皆さんが見ている未来を一緒に作っていきましょう。

辻愛沙子:arca CEO、クリエーティブ・ディレクター。Ladyknows代表。社会派クリエーティブを掲げ、「思想と社会性のある事業作り」と「世界観にかかわる作品作り」の2つを軸として広告から商品プロデュースまで領域を問わず手掛ける越境クリエーター。リアルイベント、商品企画、ブランドプロデュースまで、幅広いジャンルでクリエーティブ・ディレクションを手がける。2019年春、女性のエンパワーメントやヘルスケアをテーマとした「Ladyknows」プロジェクトを発足。2019年秋から報道番組「news zero」にて水曜パートナーとしてレギュラー出演し、作り手と発信者の両軸で社会課題へのアプローチに挑戦している。今年5月には未来を語る大人の学び場「Social Coffee House」をスタート。

Photo:
CBS Editorial Department
Text&Edit:
Takahiro Sumita
Design:
Ayane Sakamoto
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