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土から作るブランド「NEMOHAMO」と鎌田安里紗が考える、環境とものづくりの関係性のサムネイル

土から作るブランド「NEMOHAMO」と鎌田安里紗が考える、環境とものづくりの関係性

植物まるごとのちからを肌へ届ける「NEMOHAMO」ブランドマネージャーの牧田康平さんと、一般社団法人unisteps共同代表でエシカルファッションプランナーの鎌田安里紗さんが考える環境とものづくりの関係性。

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CHOOSEBASEに関わる、ヒト・モノ・コトをクリエーターの皆さんといっしょにお送りするオリジナルコンテンツです。 写真、インタビュー、コラム、エッセイ、小説など、多彩な記事で、皆さんの日常の選択を豊かにできたらと思っています。
土から作るブランド「NEMOHAMO」と鎌田安里紗が考える、環境とものづくりの関係性のサムネイル

植物まるごとのちからを肌へ届けるというコンセプトで2019年12月に生まれたブランド「NEMOHAMO」。そのブランドの魅力に早くから気づき、イベントなどでも協力をしてきたという一般社団法人unisteps共同代表でエシカルファッションプランナーの鎌田安里紗さん。サステナビリティという観点で、ものづくりはこれからどうあるべきなのか。ブランドの直営店がある京都の複合施設「GOOD NATURE STATION」で、ブランドマネージャーの牧田康平さんとともに環境とものづくりの関係性について考えます。

お料理をつくるキッチンみたいな工場で生まれる商品たち

鎌田:この記事ではじめて「NEMOHAMO」を知る方もいると思うので、あらためてブランドの紹介をお願いします。

牧田:「NEMOHAMO」は「植物まるごとのちからを肌へ」をコンセプトに、植物の力を凝縮したスキンケアブランドです。名前の通り、植物の根も、葉も、茎も、花も、実もまるごと配合していることが特徴です。植物をまるごと配合することで、厳しい環境でも生きていく力を持っている植物の力を最大限に引き出せるのではないかと考えています。

鎌田:私は、一度「NEMOHAMO」の工場を見学させていただいたことがあるのですが、本当に植物をまるごと絞っているという感じでした。これまで、スキンケアブランドの生産現場ってあまり見たことがなくて、実験室のような空間で機械的に製造されているイメージが強かったのですが、「NEMOHAMO」の工場の隣には畑があって、それを摘んできて「洗って、絞って、詰める!」みたいなシンプルな工程が印象的でした。

牧田:私たちのブランドの根底には、人や地球を健康的に美しくしたいという思いがあって、そこから植物をまるごと配合する製法にこだわっているのですが、ある意味、効率的ではないというか、どちらかと言うと非効率的なつくり方かもしれません。

鎌田:工場で工業製品をつくるというより、お料理をつくるキッチンみたいな場所だと思いました。

牧田:私たちのものづくりは、里山の土づくりからはじまるので、農業とも似ているかもしれません。植物の旬の時期に手で収穫をして、洗浄し、そのまま新鮮な状態でエキスにするというつくり方なので、お野菜を使った料理をつくっているみたいですね。

鎌田:工業製品でありながら植物の素材の魅力を最大限生かそうとしているのが面白いですよね。スキンケアアイテムづくりのイメージが変わりました。

牧田:お野菜では年ごとに形や味が微妙に違うこともあると思うのですが、「NEMOHAMO」でも同じことがあるんです。年によってちょっと色が違ったり。そういったところもほかの化粧品とは違った100%自然由来ならではの面白いところです。 

鎌田:見学に行った工場が、海と里山に囲まれた自然が豊かなところにあって驚きました。あれだけ海の近くに工場を建てられたのは排水が綺麗だからだと伺いました。

牧田:工場がある福岡県芦屋町の里山は本当に自然豊かなところです。私たちの製品は、石油由来の原料を一切使用していないので、無駄な排水や排煙が出ない仕組みになっています。また、工場のエネルギーにはすべて再生可能エネルギーを採用していて、製品をつくった後の残りの植物も里山に返して循環させています。そういった工夫によって、本来は工場を立てられない場所に特別に建てることを許されたのです。

できるだけ環境に配慮したものづくりを

鎌田安里紗 「多様性のある健康的なファッション産業に」をビジョンに掲げる一般社団法人unistepsの共同代表をつとめ、衣服の生産から廃棄の過程で、自然環境や社会への影響に目を向けることを促す企画を幅広く展開。種から綿を育てて服をつくる「服のたね」、衣食住やものづくりについて探究するオンラインコミュニティ「Little Life Lab」など。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程在籍。

 

鎌田:今回「CHOOSEBASE SHIBUYA」に出店する商品の魅力をもう少しくわしく教えてもらえますか?

牧田:今回取り扱う商品の中に化粧水があるのですが、最大の特徴が水を一切使っていないことなんです。一般的な化粧水では主成分として水が配合されていると言われるのですが、私たちは植物の生体水をふんだんに使っていて、低温真空抽出法で抽出した植物のエキスを丸ごと入れてます。

鎌田:低温真空抽出法ってどのような製法ですか?

牧田:簡単にいうと熱を加え過ぎないことで、植物の栄養分が壊れないように維持する製法です。植物が持っている酵素などの栄養分をそのまま商品にすることで、身体のコンディションをしっかり整えられるのではないかと考えています。使用している植物は、オタネニンジンという古くから和漢に愛用されてきたものです。

鎌田:オタネニンジンも契約農家さんから買い付けているんですよね。主成分がすべて自社工場のある里山か契約農家さんと聞いて、それも珍しいなと思いました。

牧田:できるだけトレーサビリティの高いものを提供することを目指しています。どんな土で、どういった原料からつくられたのかを使い手が追いかけられる状態にしたいと考えています。

鎌田:パッケージも特徴的ですよね。化粧水は中身を詰め替えられるようになっているのですが、これも化粧品では今まであまりなかったと思いました。

牧田:使い終わったレフィルは小さくして捨てることができます。これもできるだけ環境に配慮したものづくりをしたいというこだわりから生まれたものです。石油由来の原料を一切使用してないので、防腐剤にも石油由来のものを使っていません。できるだけフレッシュな状態で詰め替えていただきたいので、レフィルをそのまま交換することで使っていただけるような仕組みを考えました。また、資材の部分で環境に配慮していることとして、化粧箱の紙にサトウキビを絞った後に残った繊維から作られたバガス紙を使用したり、化粧箱中面に説明書きを印刷することで説明書を廃止、紙資源の削減を行っています。他にも、シャンプー・トリートメント・ボディソープ・ハンドソープのボトル部分の素材にはバイオマスPEを採用。配合比率としては、ボトル全体の約90%以上です。従来の石油系PEと比較して、製造から焼却までCO2を70%削減出来ると言われています。

「NEMOHAMO」は次の100年間を具現化した事業だった

鎌田:そもそも「NEMOHAMO」はどのような背景から生まれたのですか?

牧田:私たちは京阪ホールディングスの100%グループ会社です。京阪ホールディングスは今年で創業111周年を迎えるのですが、次の100年間もお客さまに愛される企業になるための長期的な経営戦略として、人々の共感を生む事業を展開するための「共感コンテンツ創造」という方針が生まれました。そして、どのように共感を生み出していくのかを考えたなかで健康で質の高い暮らしや循環型の社会、環境に配慮したオーガニックの製品などのキーワードがあがりました。それらを具体化させた事業の一つが「NEMOHAMO」になります。今回お越しいただいた「GOOD NATURE STATION」や同じ施設内にある「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」も、そういった思いをもとに生まれました。もともと本物の化粧品づくりがしたいという漠然とした思いはあって、本物のオーガニックコスメってなんだろうということをチームの中で考えている時に、福岡県芦屋町に工場を構えている金井さんと出会い、この人と一緒だったら本物の化粧品づくりが実現できるのではないかと思いました。

鎌田:私も工場見学の時に金井さんとお会いしましたが、とても素敵な方ですよね。 

牧田:金井さんは自然に対するリスペクトがすごく強い方です。また、お客さまに対しても徹底したものづくりを通して本当に良いものを提供しようという思いがあって、職人という言葉がぴったりな方ですね。人に対しても、自然に対しても、常にいいものを追求しています。

鎌田:「NEMOHAMO」の店舗は、今年リニューアルしたらしいですね。

牧田:これまではいろいろな化粧品と一緒に販売していたんですが、もっと「NEMOHAMO」の魅力を体感いただけるような空間にしたいと思って、今年の6月に店舗をリニューアルしました。店舗にもさまざまなこだわりがあるのですが、先ほどお話した「NEMOHAMO」の生産現場である福岡県芦屋町の里山の空気をできるだけ再現したくて、土や、太陽の光や水や実際の植物たちをちりばめた売場になりました。でも、一番の魅力はスタッフですね。スタッフもみんな里山で生産現場を見ているので、自分自身が体感したことをお客さまに伝えられますし、「NEMOHAMO」の魅力について、一緒にじっくりお話できる場所になっています。

鎌田:「GOOD NATURE STATION」全体が体験型の施設になっていますよね。「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」に泊まったら、「NEMOHAMO」を使うことができるのも魅力的です。

牧田:施設の楽しみ方はいろいろあるのですが、宿泊していただくのがもっとも施設を感じていただけるのではないかと思います。ホテルではヨガや農業体験などのいろいろなアクティビティを準備していて、そういった自然を体験していただくことができます。

「タイムリミット」に向けて私たちが考えること

牧田康平 株式会社ビオスタイル Beauty事業部 部長。1983年、京都府生まれ。大学卒業後、クリエイティブ会社・広告制作会社で様々な企業のプロジェクトに携わった後、海外香水・化粧品の輸入販売会社勤務を経て、2019年2月に株式会社ビオスタイル入社。化粧品と食品のオリジナルブランドの企画・開発チームに参画後、19年12月「NEMOHAMO」ローンチ。20年7月より現職。

 

鎌田:今回の「CHOOSEBASE SHIBUYA」のテーマは「TIMELIMIT」です。牧田さんはこのテーマについてどう思いましたか?

牧田:正直ドキッとしました。ものづくりをする立場としては背筋が伸びる思いです。このままではいつか地球もなくなってしまうという警鐘を鳴らしているテーマだと思うのですが、私たちも、ものづくりに関しては悩むことがあります。ものをつくらないことが地球にとっては一番いいという考えもあると思うのですが、私たちは、お客さまに満足してもらえるものづくりと地球環境に配慮したサスティナブルな仕組みづくりを両立していきたいと考えています。ものづくりにおいて私たちにできるのは小さな選択かもしれないですが、その小さな選択をしっかりとこれからの人たちに伝えていくことも重要だと思いました。

鎌田:私「地球に優しい」という表現にずっと違和感があったんです。何かをつくる以上環境になんらかの負荷をかけていて、それを少し減らしたりすることが「優しい」っていうのはちょっと言い過ぎじゃないかなって。そもそも自然は人間の思い通りにならないものじゃないですか。それは時に脅威でもあり、恵みでもある。守るべき対象というよりも、どう向き合っていくかをみんなが考えなければいけないものなのかなって思いました。私たち人間もその仕組みの中にいて、誰もが自然から何かしらの恵みをもらっているおかげで日常生活が成立している。なのに、それを現代社会では実感しづらくなっている。「NEMOHAMO」の取り組みは、生産の過程を見せることで、私たちの生活や経済活動がすべて、自然の循環の一部だということを教えてくれているのだと思います。

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Guest:
Arisa Kamada
Photo:
Yuki Nobuhara
Text:
Yuki Kanaitsuka
Edit:
Takahiro Sumita
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