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「誰もが共感できる日々の瞬間をろ過していく」コラボレーションハンカチのイラストを描いた西山寛紀さんインタビューのサムネイル

「誰もが共感できる日々の瞬間をろ過していく」コラボレーションハンカチのイラストを描いた西山寛紀さんインタビュー

「美味しいを贈る」という今回のテーマにあわせて特別に制作したギフトハンカチのプレゼント企画。イラストを担当してくださったイラストレーターの西山寛紀さんへのインタビューをお届けします。

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CHOOSEBASE編集部
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CHOOSEBASEに関わる、ヒト・モノ・コトをクリエーターの皆さんといっしょにお送りするオリジナルコンテンツです。 写真、インタビュー、コラム、エッセイ、小説など、多彩な記事で、皆さんの日常の選択を豊かにできたらと思っています。
「誰もが共感できる日々の瞬間をろ過していく」コラボレーションハンカチのイラストを描いた西山寛紀さんインタビューのサムネイル

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西山寛紀:1985年生まれ。多摩美術大学大学院修了。書籍、雑誌、広告などでイラストレーションを手がける。オリジナル作品も制作し、国内外で展覧会を開催している。最近の仕事にマガジンハウス「&Premium」表紙イラストレーション、資生堂150周年「A BEAUTIFUL JOURNEY」SHISEIDO THE STORE店内リーフレット、ルミネ新宿 LUMINE1 ウインドーアート、スープストックトーキョー「2021 YEAR CUP」デザインなどがある。HB FILE COMPETITION 2018 副田高行賞、ONE SHOW 2017MERIT、第33回ザ・チョイス年度賞入賞など。TIS会員。

 

ーー幅広く活躍されている西山さんが、そもそもイラストレーターを目指すようになったきっかけを教えてください。

西山:きっかけは進路を考え始めた高校生の時のことです。もともと音楽がすごく好きで、将来はライターなどになって音楽の人たちと関わる仕事をしたいと考えていたのですが、だんだんと自分も表現する側に回りたくなってきたんです。ミュージシャンのような表現する人たちと視覚的な技能で関わることができる人になりたいと思って美大を目指しました。

その後、一浪して多摩美術大学に入学しました。当時は特別イラストレーションをやろうと意識したり、デザイナーになろうと思っていたわけではなくて、何が自分に合っているかはわからないけれど、とにかく絵を描くという暮らしでした。

 

ーーそこからプロのイラストレーターとして活躍されるようになるまでには、どんな経緯があったのでしょう。

西山:学生の時は就活もほとんどせず絵を描き続けていて、大学院まで行って自分のイラストレーションについて研究していたんです。卒業後は美大予備校の講師をしながら自分の作品を作っていました。

そんな様子を見て、知り合いづてで仕事をいただくようになりました。それから徐々に自分でもコンペに応募して、その結果を見た人からまた仕事が来て、その仕事が別の仕事を呼んで・・・というようにだんだんと幅が広がって、今に至ります。

 

ーー数々の作品作りや仕事をする中で印象に残っている出来事はありますか。

西山:ターニングポイントは色々あったのですが、最初の節目となったのは、あるミュージシャンのグッズ制作をやらせてもらったことです。大学院時代も変わらず音楽が好きだったので、高校時代から好きだったミュージシャンに自分が描いた絵を送ったり、ライブに行った時に絵を渡したりしていたんです。そんな流れでその絵をフライヤーやTシャツに使ってもらうことになりました。自分が絵を描こうと思ったきっかけになった人たちの役に立てたという気持ちが大きかったです。

もちろん、それからも印象的な仕事はたくさんありました。川名潤さんや鈴木成一さんといった素晴らしいデザイナーさんと組んで仕事をさせてもらうたびに「こんな世界があったのか」と、より仕事を楽しむ気持ちが増してきた気がします。

ーー作品はどのように制作されているのでしょうか。

西山:最初は、はっとする瞬間やいいなと思った瞬間をアイデアスケッチとして紙に描いたり、スマホにメモしたりして残します。そのアイデアの中から絵になりそうだと思うものがあれば、丸をつけてコンピュータで色をつけたり構図をいじったりしながらラフを作っていくんです。ここでは「人の頭はもうちょっと小さい方がいいかな」とか「ここの丸は大きい方がいいかな」などと、検証をいっぱい繰り返すんです。データで入稿する仕事の時はそのまま最後までフォトショップで仕上げていきます。アナログで作る作品の場合は、大体の構図や色が決まったらキャンバスに描き始めます。

 

ーー制作にはどのくらいの時間がかかるのですか? 

西山:たとえば、A1サイズのように大きいものであれば、キャンバスを張って下地に2日くらい、そこから描き始めてさらに2日くらいかかります。構想を練るのに1週間かかったり、逆にもっと早くできたりもすることもあります。描いてみてボツになるものもたくさんあるし、昔のものを見返して「今見るといいな」と思うこともあります。

 

ーー西山さんの作品は人をモチーフにしたものが多いように感じたのですが、どんなところから着想を得たり、どんな気持ちを込めて作品を作られていますか。

西山:自分としては、時代性やトレンドよりも普遍性のある絵に興味があります。例えば「顔を洗う」とか「陽を浴びる」とか、誰もが知っている行為やものを描くことが多いのですが、それらをどうやって象徴的なビジュアルで表現しようかということをいつも考えています。

ほかにも、風がなびいて服の裏地がちょっと見える瞬間とか、日常の瞬間から刺激を受けて作品作りをしています。そんなほんの少しの瞬間や日常を「いいよね」と肯定できるところまで落とし込んで、過去から見ても、今見ても、未来から見ても、新鮮さを感じられるような作品作りができたらいいなって思っています。

ーーそれは仕事として描かれる時も同じなのでしょうか。

西山:そうですね。決まったテーマがあったとしても、一度俯瞰したところからどう見せるのが一番多くの人にウキウキしてもらえるのかと考えます。今回のCHOOSEBASEとの取り組みでも、たくさんのブランドの商品がある中で、どれか一つにフォーカスするのではなく、「食べる」という行為自体が楽しく見えるといいのではないかと思って「食事をしている人」をモチーフにしました。何かを飲むことや食べることは普遍的ではあるけれど、それをどういう色でどんな形で表したら、食べることの心地よさや味の染み込む感じが伝わるんだろうということを考えながら作りました。

 

ーー9月に個展が始まるとのことですが、どんな作品が見られる予定ですか。 

西山:今回の展示はLurf MUSEUMというギャラリーでもあり、飲食もできるカフェのような場所で開催させてもらいます。タイトルは「good hour」で、ライフワークとなっている日常的な瞬間を讃える作品を展示します。Lurf MUSEUMはデンマークの椅子があったり、大きなスピーカーからレコードの音楽が流れていたりする素敵な空間です。絵と場所を味わいながら「良い時間」を楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

Photo:
EICHI TANO(※プロフィールのみアーティスト提供)
Text:
NATSU SHIROTORI
Edit:
TAKAHIRO SUMITA
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