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大阪の老舗石鹸・洗剤メーカー 「木村石鹸」と考える“ちょうどいい”モノの選び方のサムネイル

大阪の老舗石鹸・洗剤メーカー 「木村石鹸」と考える“ちょうどいい”モノの選び方

私たちは、自分の生活にフィットして長く使えるモノをどのように選べばいいのか。そのヒントを得るべく、「ちょうどいい」をキーワードに掲げる木村石鹸の木村祥一郎社長にお話をうかがいました。

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CHOOSEBASE編集部
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CHOOSEBASEに関わる、ヒト・モノ・コトをクリエーターの皆さんといっしょにお送りするオリジナルコンテンツです。 写真、インタビュー、コラム、エッセイ、小説など、多彩な記事で、皆さんの日常の選択を豊かにできたらと思っています。
大阪の老舗石鹸・洗剤メーカー 「木村石鹸」と考える“ちょうどいい”モノの選び方のサムネイル

CHOOSEBASE SHIBUYAの最初のテーマ「TIMELIMIT」には、モノを長く大切に使うことで少しでも身の回りのモノの寿命を延ばそうという想いも込められています。では、私たちは自分の生活にフィットして長く使えるモノをどのように選べばいいのでしょうか。そのヒントを得るべく、「ちょうどいい」をキーワードに掲げる木村石鹸(大正13年創業の石鹸・洗剤メーカー)の木村祥一郎社長にお話をうかがいました。

木村祥一郎・木村石鹸社長:1972年、大阪府八尾市生まれ。学生時代にIT企業イー・エージェンシーを創業し、副社長として18年間経営。2013年に家業である木村石鹸工業に入社。2016年9月、4代目社長に就任した。

ーーまずは木村石鹸について簡単にご紹介いただけますか?

木村:木村石鹸は大正13年(1924年)に大阪で生まれた石鹸・洗剤メーカーで、今年で創業97年になります。固形石鹸から始まり、いろんなものを作ってきました。特に戦後は銭湯用洗剤とクリーニング用の業務用洗剤をメインに扱っていましたが、30年ほど前から生協さん向けに家庭用洗剤を作るようになったんです。ただ、そのときは裏方として製造を担当する形で木村石鹸という名前を前に出してはいませんでした。2015年にようやく自社ブランド事業を開始して、商品を直接販売するようになりました。

ーー今では本当にたくさんの商品を扱っていますが、どんな特徴や強みがあると思いますか?

木村:生協さんって品質基準がとても厳しいんですね。一方で、きちんと洗浄力があって、効果も出さなければいけない。いくら安全でも洗浄力が弱ければ使ってはもらえませんからね。なので、安全性と洗浄力を兼ね備え、お客さまに満足していただけるものを作ろうと努力してきました。また、とにかくたくさんの品種を作ってきたので、商品開発に対する柔軟性はとても高いと思います。


ーーバランスのとれた技術力と、どんなものでも作ることができる柔軟性ですね。木村石鹸には「風呂床の洗浄剤」や「排水管の洗浄剤」などピンポイントのニーズに応える商品も多いと感じます。

木村:安全性を担保しつつ、洗浄力を高めようと思うと、ピンポイントな商品の方が作りやすいんです。オールマイティな商品にすると、安全性を犠牲にしたり洗浄力が弱まってしまう。ニッチな商品の方がバランスがとりやすいんですね。

ーーなるほど。ちなみに、商品が生まれるまでにどのくらいかかるのですか?

木村:できそうなものはとにかくすぐトライしてみるので、試作まではめちゃくちゃ早いと思います。そこからすぐ商品になるものもありますし、何年もかけて改良する場合もあります。ただ、思いつきで試作をすることも多いので、商品化されないものも実はたくさんあるんです。

ーー木村石鹸がキーワードに掲げる「ちょうどいい」って、どんな考え方ですか?

木村:ものに対して無関心で、受動的に使うものを選んでいる人もいれば、一方で自分の生活とかけ離れたところにあるものに憧れて使っている人もいます。ものへの「愛着」は、その真ん中ぐらいにあると思っていて、生活にフィットしつつも自分が主体的に使うものを選ぶことで毎日の生活に気持ちよさが生まれる。「ちょうどいい」とは、愛着があって生活にフィットしているモノを使っている状態だと思います。

ーーたしかに、普段使うものに対して愛着を持つことは大切ですよね。愛着を持って選んでもらえるように意識していることはありますか?

木村:僕たちのような小さい会社では、愛着を持って買い物をしてもらえるように、新しさや目立つことを売りにしたくないと思いました。ほんとうにそれだけの洗浄力が必要なのか、抗菌効果が必要なのか。そもそも、消費者はそんなことも考えずに買っているのではないかと。だから、私たちは売るためのバージョンアップを必ずしも定期的にする必要はないと思っています。

ーー世の中のトレンドなどもあまり意識していないのでしょうか?

木村:一番大切にしているのは、お客さまが求めているかどうかです。売るための商品改良はしないけれど、生活者が求めている改良は当然やります。だけど、それが年に何回なければいけないということはありません。そもそも、トレンドがすごく細分化されているような気がしています。昔だったら大きなトレンドがあったのかもしれませんが、今ではSNSを見ている人とテレビを見ている人ではトレンドが全然違っている。僕たちはニッチで小さい領域を扱っているので、SNSを中心にコミュニケーションを取れる人たちを大切にしています。

ーーでは、最後に、今回「CHOOSEBASE SHIBUYA」で扱うシャンプー「12/JU-NI」について教えてください。

木村:「12/JU-NI」は、約5年の歳月をかけて開発に成功した「ダメージヘアのお悩み解決の手助け」となる商品です。通常のシャンプーは「どういう語り口で説明するか」を考えることから開発が始まるものが多いと思います。たとえば、ナチュラル志向ならこういう成分を外そうとか、処方を工夫して説明できるような商品を作るんですね。だけど、僕たちはとにかくいいシャンプーを作りたかった。その結果、すごくいいのに、語り口がないシャンプーが生まれました(笑)。だけど、それこそが特徴だとも思いました。開発者が正直に髪にいいものと向き合った結果生まれたシャンプー。それは、語り口を考えて作ったら絶対にできないものだったんです。ノンシリコンでもないし、自分たちの強みである石鹸も使っていない。だけど、髪の悩みにアプローチできる。そんな商品です。

-商品ページはこちら-

https://choosebase.jp/collections/12ju-ni 

 

Photo:
ブランド提供
Text&Edit:
Takahiro Sumita

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