花屋のあり方を変えていく「LIFFT」が届ける、新鮮なお花と共にある暮らし
大人気の花屋「ex. flower shop & laboratory」などを手がけるフラワーカンパニー「BOTANIC」が新たに始めたお花のオンラインサービス「LIFFT」。これまで消費者の手元に届くまで長い経路を辿っていた生花を無駄なく最短ルートで届けることに挑戦しているという「LIFFT」は何を解決するのか。
これまで「LIFFT」のジャーナルに寄稿をしている市川渚さんによる写真とともに、「BOTANIC」の代表である上甲友規さんへのインタビューをご紹介します。
現在は、「LIFFT」をはじめとするオンライン事業、店舗事業、装飾事業を行いながら、毎月数回は自ら産地に足を運び、業界や花・植物へ知見を深める。
ー はじめに、お花の定期便「LIFFT」について教えていただけますか?
上甲:「LIFFT」は、「Farm to Vase - 農園からご自宅(花瓶)へ -」というコンセプトを掲げるオンラインのお花屋さんです。農園さんと提携し、新鮮なお花をサブスク型やギフト用の花束の形でお届けしています。ご自宅用のサブスクサービス「LIFFT定期便」では、花だけではなく、それにまつわるカルチャーも一緒にお届けしていくことを目的としています。
ー 「農園からご自宅」とのことですが、そもそも生花は店舗で売られるまでにどのような経路を辿るのでしょうか?
上甲:基本的には、野菜と一緒です。生産者さんから、時に農協を経由して市場へ出荷され、そのあと卸業者を経て店頭に並びます。その過程の中でお花に傷が付いてしまったり、流通に時間がかかってしまう問題がありました。そこに疑問を抱いたことから、生まれたのが「LIFFT」なんです。
ー 具体的に、どのような方法で問題を解決しているのですか?
上甲:「LIFFT」には、大きな特徴が二つあります。一つは、仕入れへのこだわりです。実際に産地を訪問して品質を確認させていただき、信頼関係を築くことができた生産者さんから仕入れを行っています。もう一つは、お店に在庫をほとんど持たないことです。生花は日持ちが大事なので、生産者さんや市場、店頭での在庫期間が長くなればなるほど、お客さまが楽しめる期間が減ってしまうんですよね。でも「LIFFT」では、基本的にオーダーをいただいてから採花をし、仕入れたその日のうちに発送しています。この二つの特徴のおかげで、品質の良いお花を短い流通経路でご自宅にお届けすることができます。
ー 在庫を持たないことは市場にとってもメリットがあるのでしょうか?
上甲:「フードロス」のように、生花には「フラワーロス」という問題があります。たとえば流通の過程で傷んで捨てられてしまうお花や、装飾に使われて一日で捨てられてしまうお花など、様々な場面で生花が廃棄されています。その中でも私たちは、店頭が多くの在庫を抱え、売れ残ってしまうことで捨てられるお花をどうにかしたいと思っていました。在庫を持たないことで、お店としての廃棄を減らし、経営的にも良い状態で課題解決に繋げていくことができます。
ー もう一つの特徴である生産者さん選びには、どのようにこだわりがあるのですか?
上甲:良いものを作られている方や、新しい取り組みをされている方を実際に訪ねて、まずは自分たちの目で確かめるようにしています。サブスクは価格の維持が大変なので、他サービスの場合は輸入花を使用して原価を下げることもあるようですが、そうすると品質が下がってしまうことも多いです。「LIFFT」では、価格を維持する努力をしながら、種類の珍しさを含むデザインに加えて、お花の日持ちでも選ばれたいと思っています。
ー 「LIFFT」では、生産者さんのお顔が見える取り組みもされていますよね。
上甲:一本500円のバラに対して、なんでそんなに高いのだろうって思ってしまうことがありますよね。でも生産者さんが丹精込めて作っているものなので、やはりそれだけの価値があるものだと、お客さまに伝えていくことも花屋の使命だと思っています。なのでご自宅へお花を届ける際にはジャーナルを同梱し、お花の価値やケアの方法をお伝えしています。
ー 最後に「LIFFT」を通じて、実現していきたいことをお伺いしたいです。
上甲:気軽に花を贈ったり、飾ったりするカルチャーを作っていきたいです。花を飾ることに対して、敷居が高いと感じてしまう方がたくさんいるような気がしています。でもまずは、一輪でもいいから飾ってみてほしいです。最終的には欧米のように、日常に花が介在するようになればいいと思います。誰かと会うときのプレゼントに花を買う選択肢があったり、週末に花を買いに行く習慣があったりするといいですよね。自分の気持ちに寄り添い、かつ季節を感じさせてくれるものが花だと思うんです。なので気軽に楽しんでいただけるようになると、花屋としてはすごく嬉しいです。
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- Text:
- Maho Kamagami
- Photo:
- Nagisa Ichikawa
- Edit:
- Takahiro Sumita