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From Journey to life ー 古性のちの旅とモノ語りVol.4「 HERENESS」ー
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瀬戸内で暮らしはじめて、最初の冬がやってきた。
落葉樹。
柔らかな木漏れ日。
汽笛の音。
海を渡るボート。
まどろみながら読む本。
ちいさな電気ストーブに、お気に入りのお香。
外は思ったよりも気温が低いらしく、真っ白に曇る窓。
季節が移り変わっていく様子は、なぜかいつもちょっとだけ不安で、そわそわする。
そのすべてを愛しく感じられるのは、きっと私とこの家と土地が、少しずつではあるけれど、きちんと馴染んできているから、だと思う。
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覚悟していたほどは寒くないお部屋にほっとしながら、少しずつ色を変えていく海の色だとか、山だとかをただ見つめている。
冬の瀬戸内での暮らしと東京での暮らしでは明確な違いがひとつだけあって、それは「着るもの」だ。普段ワンピースやスカートを好んで纏うことが多い私が、瀬戸内ではそれらは選択しない。
もちろん、海が近くて寒いのもあるかもしれないけれど、それ以上に私はここで暮らしていると「衝動的に動く」の動作を日常的にごく自然と取り入れてしまうからなのだと思う。
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だって朝起きて美しい海と目が合うと部屋を飛び出したくなってしまうし、
自転車に飛び乗って港にも行きたい。
珈琲を水筒に詰め込んで、本を読みに芝生に出かけるかもしれないし、
ドーナツを片手に散歩したくなる。
そんな時に汚れることだったり、動きにくさだったり、そういうことを理由に、感性や感情が導いてくれる行動を遮ることはしたくない。
だから自然と瀬戸内では動きやすいし、暖かいしで、スポーツウエアのような格好に落ち着くことが多い。
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「体を動かすことの喜びを少しでも多くの人に伝えること」をミッションとして掲げるHERENESSのヨガタイツも、そんな文脈でよく着用している。
魚網からリサイクルしたナイロン糸を使ったヨガタイツで、とにかくよく伸縮する。
さらさらした肌触りが心地よくて風を通さないから、起き抜けに家で履くこともよくある。
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せっかく出かける前にストレッチをしても、扉を開けて寒くてやめて部屋で読書を始めたりもする。そのままベッドにダイブして昼寝を始めてしまう自由な私を、そっと見守ってくれるのがHERENESSのヨガタイツだ。
柔らかくて締め付けすぎなくて、本当に気持ちがいい。
だからこのままつい眠くなってしまうんだよなあ。
こんなタイツを知ってしまうともう、普通のが履けなくなってしまう。困った。
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家から近くの港まではのんびり歩いて20分ほど。
頬に当たる風は確かにもうすっかり冬の匂いがして、日本の中に2つ拠点を構える決意をしてから、もう3つ目の季節がやってくるのだなあとセンチメンタルな気持ちになった。
この先も、わたしの暮らしは続いていく。
東京とここ瀬戸内を行き来しながら、東京では仕事を、瀬戸内では生活することに比重をおきながら、ゆっくりゆっくりと、自分らしいバランスを探していくのだと思う。
いつかこの場所を離れてしまう日がくるとしても。
ここで暮らした思い出や物は、ずっと記憶に住み続けて、きっと思わぬ場面でお守りになったり、支えになったりしながら、私の人生に在り続けている。
そう思うと、今日こうして瀬戸内の海を眺めながら深呼吸しているこの瞬間は、なんて愛おしいものなのだろう。
明日も明後日も、またその次の日も変わらずゆるやかに。
タイムリミットがくるその日まで、大切に生きていきたい。
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今回紹介したもの: Econyl®︎ SUEDE YOGA TIGHTS(WOMEN)
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「体を動かすことの喜びを少しでも多くの人に伝えること」をミッションに掲げるHERENESSから生まれた自然にも肌にもやさしいヨガタイツ。
魚網からリサイクルしたナイロン糸〈Econyl®︎(エコニール)〉を編み込んで作られており、肌触りはさらさらと滑らか。気持ちよく伸縮する素材なので、普段着としても十分機能します。
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Photo by - manju koki / 古性のち