From Journey to life ー 古性のちの旅とモノ語りVol.1「SETOUCHI T&K HERB」ー
「自分の機嫌をとってくれるものだけありったけに詰め込んで、東京を離れよう」と思った時に、この場所を選んだことに大した理由なんかなくて、至極当然のことだったように思える。
2021年8月。私は大きい青のキャリーケースと共に、この瀬戸内に引越しをした。
瀬戸内の海沿いに借りたちいさな部屋は、
レトロ、と言ってしまえば聞こえが良い古い和室と洋室がひとつずつ。
窓から見える背の高めな緑たちと、ボロボロのスツール。
つなぐ宛のないテレビか何かの配線と、タイル張りの台所。
むき出しのパイプが妙に可愛く見える、そんな家。
この引越しで、わたしが東京から連れてきたものはほんの一握りだけだった。
お気に入りの本とガラスのコップ。ハンドクリームと、真ちゅうの匙。
その中には思い出が濃いものも薄いものもあって、粒度はまばら。
「SETOUCHI T&K HERB」のスキンケア商品たちは、そんな東京から瀬戸内への旅の途中で合流したもののひとつ。
手にした時にすぐ「ここから連れ出してあげよう」と思った。
というより、なんたってこの子たちの故郷は瀬戸内なのだ。
一緒に連れていかない理由が見つからなかった。
ガランとした部屋でハーブウオーターをしゅわっとひと吹き。
思いきり吸い込むと、香りと一緒に、目の前に広がる景色が頭の中にカチッとセットで収まった。
きっとこの先わたしはこの香りを吸い込むたびに、このちいさな部屋のことを思い出すのだろう。それが何だか妙に心地良くて、嬉しくなって笑ってしまった。
思えば「旅ができればほかに何もいらない」と豪語していた20代は、きちんと家を借りようだなんて毛頭考えたこともなかったし、自分の機嫌の良し悪しを、ものに求めることもしてこなかった。
いかに合理的であるか。
旅とわたしの間にあるものは、すべてが耳障りなノイズで、足かせだった。
30代。
多分わたしはこの瀬戸内という場所から、愛しい部屋とモノたちと共に、あたらしく生まれ直そうとしているのだと思う。
自分と向き合うことも、変化することも恐れずに受け入れて。
ここからもう一度始まっていくのだ。
今回紹介したもの: しっとり瀬戸内ハーブ・ウオーター
竹原市内で切り出した竹を、2日以内に香寺ハーブ・ガーデン夢前工場へ搬入してパウダー化。
竹自身が持つ乳酸菌で数日間自然発酵させ、最適な状態で蒸留した竹ハーブエッセンスに竹のエキスとレモンマートル水やカミツレ水をブレンド。
爽やかな香りのハーブ・ウオーターです。
独特の香りと、しっとりした使い心地をお楽しみください。
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